「少辛増酸(しょうしんぞうさん)」は中医栄養学における秋の食事に関する原則である。所謂「少辛」とは、辛味の食物を控えることである。肺は金に属し、秋に通じるため、秋には肺気が盛んになる。そのため、辛味を控えることで肺気の過剰を防ぐことができる。 中医学の観点から言えば、秋季とは立秋から立冬までの3か月間を指す。その特徴は気温が熱から寒へと移行し、陽気が減少し陰気が増加する点にある。したがって、秋季の健康維持には「養収(ようしゅう)」の原則に従う必要がある。特に食事に関しては、潤燥益気(じゅんそうえきき)を主軸とし、脾を健診し肝を補い肺を清めることが重要であり、清潤甘酸の食品を多く摂ることが推奨される。 「少辛増酸」における辛味と酸味は、日常的に言う「辛さ」と「酸っぱさ」とは完全に等しいわけではない。 五味調和の辛味(辣味)は、熱辣味、麻辣味、辛辣味の3種類に分けられ、唐辛子、花椒、胡椒、ネギ、ニンニク、生姜、カレーなどの調味料に現れる。 五味調和の酸味は、伝統的に渋味も含むもので、収斂・固涩作用があり、多汗症や下痢不止、頻尿、遺精などの治療に用いられる。また、酸味と甘味を組み合わせると、滋陰潤燥の効果がある。 果物の中でも酸性物質を最も多く含むのは山楂(サンシャ)であり、次いで葡萄である。また、柚子や石榴も秋によく食べる酸味の果物である。
|