善心による養生 唐代の著名な医学者・孫思邈は『千金要方』の中で、「養性とは、習慣を身につけ、性を善くすることである。性が善ければ、内外の百病は生じず、禍乱災害も起こらない。これが養生の大綱である」と述べています。養性は養生の根本であり、養性とは「性善」を実現することです。一般の百姓の言い方では「心が善い」「善心」と言います。つまり、心が良い、心が正直であるということです。心が善良で、良心を正せば、悪いことはせず、何事も光明磊落で、心が安らかになり、罪悪感がありません。それが最高の養生法です。 人が「心善」の境地に到達できるかどうかは、正しい道徳基準を確立しているかどうかにかかっています。言い換えれば、善心による養生とは、道徳修养による養生の話です。所謂「養性」とは、核心的に道徳修养の問題です。古代の学者は「仁者寿(仁ある者は長寿)」という養生理論を提唱しました。春秋時代の大教育家・孔子は『中庸』で「修身以道、修道以仁(道を以って身を修め、道を以って仁を修む)」「大徳必得其寿(高い徳を持つ者は必ず長寿を得る)」と述べ、高尚な道徳修养を持つ者は必然的に長寿になると説きました。明朝の医学者・王文禄は『醫生』の中で「養徳・養生は同じ術である」と明言し、養德と養生は統一的で、分離できない、両方を兼ね備えるものであると主張しました。 人の道徳倫理意識は心理状態に極めて大きな影響を与えます。他人や物に利益をもたらす善行を行うと、精神的に無限の喜びを感じ、体の各器官の機能活動に有益な調節作用をもたらし、正常な発展を促します。古人は「厚徳載福(厚い徳は福を載せる)」と云い、善行を積むことが幸福そのものであると述べました。その道理は、善行を行うと心の喜びを感じるからであり、その精神的な喜びが、生き延び、長寿をもたらす幸福の果実をもたらすからです。 ここで指摘しておくべきは、古今の養生法で語られる道徳観念とは、人々の行動規範、つまり人のルールを指します。この概念は日常生活中や社会的交流において頻繁に使われ、他人や自分自身の言行の善悪を評価する基準・尺度として機能します。人々が道徳を必要とするのは、人類のすべての活動が社会から離れられないからです。道徳は一定の行動評価基準として、人々の意識の中に存在します。たとえば、「清廉潔白」「老人も子どもも騙さない」「教え子を諦めない」「死を救い、病を治す」「富や権力に屈しない、武力に屈しない」「貧乏でも志は曲げない」など、これらの道徳的品質は、伝統的な道徳観念が長年にわたり発展してきたものです。人類が共に守るべき信念です。
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