秋は立秋から始まり、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の六つの節気を経る。そのうち秋分は季節的気候の転換点である。『内経・素問・四気調神大論』には、「秋三月、此れを容平と称す。天気は急なり、地気は明なり」とある。 秋になると、空は澄み切って、地気が清々しく、金風が爽やかに吹き、万物が熟す。まさに収穫の季節である。秋の気候は「陽消陰長」の過渡期にある。立秋から処暑までは秋の陽が強く、気温が高い。また、時に雨が降り続き、湿気が強い。天気は湿熱が重い特徴を持つため、「秋老虎」と呼ばれる。 「白露」を過ぎると、雨量が減り、天気が乾燥する。昼は暑く、夜は涼しい。気温の変化が激しく、注意しないと風邪や感冒を引きやすく、多くの既存疾患も再発しやすい。これを「多事之秋」と呼ぶ。 人間の生理活動は自然環境の変化に適応しており、体内の陰陽もそれに伴って変化する。そのため、秋の養生において精神情志、食事起居、運動導引などの調節は、「和」を重視すべきである。 情志の調和で悲秋を避ける 秋に入ると、「天人相応」の観点から、肺は金に属し、秋の気と対応する。肺は気を主として呼吸を司り、志は憂いである。肺気虚の者は秋の気候変化に敏感であり、特に中高年者が秋風冷雨、花木凋落、万物蕭条な景観を見ると、心中悲秋、寂寥、老衰の感覚を抱きやすく、抑鬱な気持ちになりやすい。 宋代の養生家陳直は、「秋は凄風惨雨、老人は多く感傷を起こす。もし顔色が不快なら、さまざまな方法で誘い、心神を働かせれば、秋の思いを忘れられる」と述べている。これより、秋の養生において精神の調節が最も重要であることがわかる。『素問・四気調神大論』にも、「志を安んじ、秋の刑を緩めよ。神気を収斂し、秋の気を平らかにせよ。外に志を逸らさず、肺気を清めよ。これが秋の気への対応であり、養収の道である」とある。 したがって、中高年者にとって、「心無其心、百病不生」という健心哲理を持ち、物に喜ばず、己に悲しまず、楽観的で開放的、淡泊で静かな性格を育て、神気を収斂し、内心を静かに保つことで、秋の肃殺の気による精神への影響を緩和し、秋の「容平」の特徴に適応できる。だから、中高年者は仲間と野外の山里へ行き、高台に登り、遠くを眺め、大自然の秋の花々、紅葉が燃えるような景色を満喫すれば、すべての憂鬱や嘆きは一瞬で消え去り、愉悦で調和的な気持ちは若々しい活力を呼び覚ます。 秋寒に節度をもって対応し、強化する 中国では古くから「春捂秋凍、不生雑病」という諺があり、秋の「薄衣で寒を防ぐ」養生法に合致している。しかし、「秋凍」には正しい理解が必要で、その真髄を科学的に理解すべきである。 「立秋」節気以降、気温は徐々に低下し、昼夜の温差は大きくなる。寒露を過ぎると、北からの冷気団が頻繁に侵入し、「一場の秋雨一場の寒」となる。 病気予防の観点から、段階的に「秋凍」を実践し、寒さに耐える鍛錬を行うことで、心肺機能を強化し、体が自然環境の気候変化に適応する抗寒能力を高め、呼吸器感染症の発生を予防できる。 しかし、深秋になると、天気が急変し、気温が著しく低下し、雨が降り続く場合、まだ薄着で単衣を着ていると、寒冷刺激を受けやすく、体の免疫力が低下し、風邪などを引きやすくなる。特に慢性気管支炎、喘息、慢性的閉塞性肺疾患、心脳血管疾患、糖尿病などの既存疾患を持つ中高年者にとっては、天気の変化に注意せず、防寒保温を怠ると、一度風邪を引くだけで旧病が再発しやすい。 寒冷刺激は皮膚血管の弾性を低下させ、周辺抵抗を増加させ、交感神経を興奮させ、副腎皮質ホルモンの分泌を促進し、小動脈を収縮させ、血圧を上昇させる。これは脳血管破裂出血を引き起こしやすい。また、寒冷刺激は血液中の線維蛋白濃度を上昇させ、血液の粘稠度を高め、血栓形成を促進し、生命と健康に危険を及ぼす。 したがって、秋の気候変化に順応し、天気の変化に合わせて衣服を適宜増減し、「秋凍」に節度を持たせ、気候変化と調和することこそ、賢明な選択である。 食事の調和で潤い、乾燥を防ぐ 「秋分」を過ぎると、雨水が減少し、空気中の湿度が低下するため、秋燥が中秋から晩秋の主要な気候となる。秋は肺金が支配する時期であり、ケアを怠ると、秋燥により津液が消耗されやすく、口渇、喉の痛み、肺熱咳嗽などの症状を引き起こしやすい。したがって、秋には清熱生津、養陰潤肺の食品を摂取すべきである。 例えば、泥鰌、鯉魚、白鴨肉、芝麻、核桃、百合、糯米、蜂蜜、牛乳、ピーナッツ、新鮮な山薬、白キノコ、広柑、白果、梨、红枣、蓮子、サトウクチナガラなど、清補柔潤な食材は、陰を補い、肺を潤し、血を養う効果がある。 中高年者の胃が弱い場合は、朝食に粥を摂ることをおすすめする。胃腸を和らげ、津液を生じさせやすい。『医学入门』には、「朝起きて粥を食べれば、陳腐を推し、新を出しつつ、隔膜を利し、胃を養い、津液を生じさせ、一日清爽となり、補うところは大きい」とある。例えば、百合红枣糯米粥は陰を補い、胃を養い、百合蓮子粥は肺を潤し、腎を補い、三色粥は清熱し、肺を養い、百合杏仁粥は痰を祛除し、咳を止める。鮮生地汁粥は血を涼ませ、乾燥を潤す。扁豆粥は脾を健やかにし、中を調える。生姜粥は寒を防ぎ、嘔吐を止める。胡桃粥は肌を潤し、乾燥を防ぐ。松仁粥は肺を潤し、腸を助ける。菊花粥は目を明るくし、神を養う。茶粥は痰を化し、消化を助ける。燕窩粥は肺を養い、咳を止める。山薬粥は脾を強化し、腸を固める。甘菊枸杞粥は肝腎を補う…… 個々人の状態に応じて異なる粥を選ぶことで、臓腑の陰陽气血が調和し、体を補う目的を達成できる。 運動で健康を保つ:動と静の調和 金秋の時期は、空が高く、爽やかで、国民が各種の運動を行う好機である。多くの運動項目の中から、自分に合ったものを選ぶべきである。高齢者は散歩、ゆっくり走る、五禽戲、太極拳、健康体操、八段錦、自己マッサージなどが適している。 中青年者はランニング、スポーツ、登山、冷水浴、泳ぎなどが適している。動功の練習と並行して、静功も併用する。例えば、六字訣の黙念呼気法、内気功、意守功など。動と静を結合させ、動けば体を強化し、静ければ神を養う。心身の健康を達成できる。ただし、耐寒鍛錬を好む人は、秋から天気の変化に合わせ、段階的に、継続的に行うことで、多様な気候に対する体の適応力と抵抗力を高めることができる。 予防を重視し、調和して安康を保つ 秋は腸管伝染病、マラリア、乙型脳炎などの発生が多い時期であり、多くの既存疾患(胃病、慢性気管支炎、喘息など)の再発もよく見られる。高血圧、冠動脈疾患、糖尿病を有する中高年者は、晩秋に予防を怠ると、病情が悪化し、高血圧危象、急性心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる状態に至ることもある。 したがって、誰もが予防を最優先とする意識を持つべきである。 ① 食事衛生に注意し、生水を飲まず、腐敗変質や細菌汚染された食品を食べない。胃が弱い人は、食事の調節に特に注意し、胃を和らげ、食事を節制し、温かく、軟らかく、淡いものにする。生冷を禁じ、暴飲暴食を避け、煙酒を断つ。 ② 環境衛生を整え、蚊の繁殖地を除去し、蚊に刺されるのを防ぐ措置を講じる。子どもには乙型脳炎ワクチンを定期接種する。乙型脳炎に接触する人々や感受性の高い人々も、ワクチンを及时に接種し、免疫力を高める。 ③ 天気が急変したときは風邪や感冒を防ぐ。慢性気管支炎、喘息患者には再発防止に効果がある。 ④ 高血圧、冠動脈疾患、糖尿病患者に対して介入治療を行い、血圧、脂質、血糖値などを理想範囲に保つ。調和とバランスを維持することで、合併症を効果的に防ぎ、生活の質を向上させ、金秋を安心して過ごせる。
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