気血双補方 気血双補方とは、血を補い、気を補うことができ、気血ともに不足している状態に適した処方である。つまり、臨床上、気の不足によって息切れ、疲労感、耐え難い疲れ、倦怠感などの気虚証が現れ、また血の不足によってめまい、心悸、顔色が蒼白、不眠、健忘などの血虚の症状が現れる場合である。このような状態では、気血双補方を使用する必要がある。よくあるこの種の秘方、偏方は以下の通りである。 [方一] 牛肉1000グラム、精塩適量、日本酒250ミリリットル。牛肉を洗い、小片に切り、鍋に入れて適量の水を加え、強火で沸かし、血汚れと浮き沫を取り除く。その後、弱火で30分間煎じ、日本酒と精塩を加え、肉が柔らかく汁が濃くなるまで煮、冷ましてから皿に盛り、食事として食べる。 この方は脾胃を補い、気血を補い、体を太らせ、健康な人を強化する。虚弱、痩せ、食欲不振、疲労感、精神の倦怠に適している。 [方二] 童子鶏1羽、日本酒、生姜、精塩、葱白各適量。鶏を殺し、内臓と羽毛を取り除き、洗って小片に切り、蒸気鍋に鶏肉を入れ、葱、生姜、日本酒、精塩などの調味料を加え、水を加えない。蒸気鍋から生成される蒸留水を利用して「鶏露」を作る。食事として、露を飲んで鶏肉を食べる。 この方は気を補い、精を補い、体を太らせる。体が弱い、産後、病後、高齢で痩せている人など、状況に応じて適宜選択できる。 [方三] 松の実50グラム、蜂蜜25グラム、胡桃肉50グラム。松の実、胡桃肉を細かく砕き、蜂蜜と混ぜ、火にかけて沸騰させ、火を止め、冷まして保存しておく。 この方は肺を潤し、腎を補い、中を補い、体を太らせる。体が弱い人が長期にわたって服用するのに適している。 [方四] 太子参15グラム、山薬、白朮各10グラム、生黄芪15グラム、麦冬、黄芪各10グラム、黄精、雞血藤各15グラム。水煎して服用。週に1回。 この方は気を補い、血を補い、形体が痩せ、色が悪く、精神が落ち込んでいる人に適している。 [方五] 黒大豆100グラム、豚油適量。黒大豆を醤油を作る方法で、黄色くして粉にし、豚油で煎じて膏状にする。1匙、お湯で溶かして服用。1日2回。 この方は肌を長くし、色を良くし、気力を増し、体を太らせる。『図経本草』曰く「長期服用すると体が重くなる」。 [方六] 黒驴肉500グラム、豆豉、日本酒、精塩各適量。驴肉を洗い、小片に切り、鍋に入れ、豆豉、日本酒、精塩、水を加え、強火で沸かし、弱火で煮て柔らかくなるまで煮る。 この方には血を補い、気を補う効果がある。虚弱な労損、風眩、心烦に適している。 この方は『飲膳正要』より出典し、原方は「風狂、憂愁不楽、安心気」に用いられた。久病体虚、または労傷過多で気血が消耗すると、労損が生じる。血気不足で頭目が栄養されないため、虚風眩暈が起こる。気血が不足し、心神が養われないため、心煩が起こる。治療法としては、血を補い、気を補うことが適している。この方では驴肉を主薬としている。血肉有情の物は、血を補い、気を補う効果が非常に大きい。豆豉を補助薬として、心を清め、煩悶を除く。両者を併用することで、血を補い、気を補う処方となる。この方の補血重視で、気血不足で血虚が主である場合に適している。 [方七] 人参10グラム、大棗5個。人参を薄切りにしておく。大棗を洗っておく。人参を砂鍋に入れて、清水を浸して半日ほど置き、大棗を加えて約1時間煮る。 この方は気血を大補する効果がある。気血不足、虚弱労損に適している。 この方は『十薬神書』より出典し、原方は「出血後この薬で補う」ために用いられた。長期にわたる調理不当、長期の病気で治療が不十分、または大量出血により、気血が重度に不足し、虚弱労損が生じる。治療法としては、大補気血が適している。この方では人参を主薬として、元気を大補する。大棗を補助薬として、気を補い、血を養う。人参と大棗を併用することで、気を補い、血を生じる効果があり、大補気血の処方となる。 この方は貧血に使用できる。 この方の補益力は強く、実証、熱証の人は食用しないこと。 [方八] 新鮮なブドウジュース500ミリリットル、蜂蜜1000ミリリットル。ブドウジュースを小火で煮詰め、粘稠な膏状になるまで煮、蜂蜜を加えて沸騰させ、火を止め、冷ましてから瓶に詰めておく。1匙、沸騰したお湯で溶かしてお茶代わりに飲む。熱病による渇き、食欲不振などの症状に適している。 ブドウは甘酸平とされ、肝腎の陰液を滋養し、蜂蜜と併用することで、気血を補い、燥を潤す効果がある。 [方九] 黄精50グラム、玄米100グラム。黄精を水で浸し、取り出して細かく切っておく。玄米を洗っておく。黄精と玄米を鍋に入れて、水を加え、強火で沸かし、弱火で粥ができるまで煮る。 この方は虚損を補い、気陰を補う効果がある。虚弱労損に適している。 この方は『調疾飲食辨』より出典し、原方は「すべての虚損百損、陰陽気血の衰弱にかかわらず、適している」とされている。虚弱労損は、長期の病気で治療が不十分で、気陰が消耗して生じる。治療法としては、虚損を補い、気陰を補うことが適している。この方では黄精を主薬として、虚損を補い、精髓を填め、気陰を補う。玄米を補助薬として、気を補い、血を養い、黄精の虚損補強効果を高める。両者を併用することで、虚損を補う処方となる。この方の滋養力は強く、虚損労損で陰虚精亏が主である場合に特に適している。 この方に氷糖を加えて調味すると、滋養潤肺効果が強まる。肺痨咳嗽、咯血に適している。 この方は使用できる。 この方の性質は脂質で、湿を助けて痰を生じやすくするため、脾虚湿困、痰湿咳嗽、中寒便溏の人は食用しないこと。 [方十] 肥えた羊肉500グラム、当帰、生地各20グラム、乾姜15グラム、醤油、日本酒、砂糖、精塩各適量。羊肉を洗い、小片に切り、鍋に入れ、水、当帰、生地、乾姜、日本酒を加えて、七分くらいに煮、その後醤油、砂糖、精塩を加えて、弱火で汁を煮詰める。 この方には気を補い、血を養い、中を温め、下を暖める効果がある。血虚宮冷崩漏、産後虚寒腹痛、虚労羸弱に適している。 この方の原典は『千金方』で、原方は「崩中去血、積時不止」に用いられた。気血虚寒で、胞宮を温め、充養できないため、崩漏などの症状が起こる。治療法としては、温補気血が適している。この方では羊肉を主薬としている。血肉有情の物は、気血を補い、胞宮を暖める効果が非常に大きい。当帰、生地、乾姜を補助薬として、当帰、生地は羊肉の血を養い、経を調節する。乾姜は羊肉の温中暖下を助ける。両者を併用することで、温補気血の処方となる。この品は温補気血のため、産後虚寒腹痛や虚弱羸弱にも使用できる。 この方の重点は温補であり、血熱崩漏の人は食用しないこと。 [方十一] 羊肝1具、羊脊椎肉250グラム、地骨皮12グラム、神曲10グラム、卵白、葱白、豆豉、素油、日本酒、砂糖、乾澱粉、湿澱粉各適量。羊肝、羊肉を洗い、細かく切り、碗に入れて、卵白、乾澱粉を加えてよく混ぜておく。地骨皮、神曲を鍋に入れて、水を加え、濃く煮て汁を取っておく。素油を炒鍋に入れて、七分くらい熱くなったところで、羊肝、羊肉を加え、油を通して取り出しておく。地骨皮神曲汁を炒鍋に入れて沸騰させ、羊肝、羊肉を加え、葱白、豆豉、精塩、砂糖、日本酒、素油を加え、湿澱粉でとろみをつけて、炒め、汁を収めて完成させる。 この方には気血を補い、虚労を補う効果がある。虚労羸瘦に適している。 この方の原典は『聖濟総録』で、原名「羊肝方」。虚労に用いられた。長期の病気で治療が不十分で、気血が不足し、臓腑が消耗すると虚労に転じる。治療法としては、気血を補い、虚労を補うことが適している。この方では羊肝、羊肉を主薬としている。血肉有情の物は、気血を補い、虚労を補う効果が非常に大きい。地骨皮、神曲を補助薬として、地骨皮は虚労の内熱を清め、羊肉の熱を制する。神曲は脾を健やかにし、気血の生化を助ける。これらの材料を併用することで、気血を補い、虚労を補う処方となる。この品は寒熱並用、陰陽並調であり、一般的な虚労羸瘦に適している。 [方十二] 猪腰子1個、人参、当帰各10グラム、山薬30グラム、麻油、醤油、葱白、生姜各適量。猪腰子を半分に切り、筋膜を取り除き、洗っておく。背面に斜めの切り目を入れ、薄切りにしておく。人参、当帰を砂鍋に入れて、水を加え、沸騰させ10分後に猪腰子、山薬を加え、少し煮てから猪腰子を取り出し、冷ましてから麻油、葱、生姜を加えて混ぜれば完成。 この方には気を補い、血を補う効果がある。気血両虚、心悸亢進、息切れ、話すのが面倒、自汗、腰痛に適している。 この方の原典は『百一選方』で、原方は「心気虚損、怔忡而自汗者」に用いられた。気血両虚で、気虚により衛外が固められない、機能が低下すると、自汗、息切れが起こる。血虚で濡養されないと、心悸亢進が起こる。治療法としては、気を補い、血を補うことが適している。この方では人参、当帰を主薬としている。人参は元気を大補し、当帰は血を養い、血を補う。両者を併用することで、気血双補となる。山薬、猪腰子を補助薬として、山薬は脾を補い、腎を補い、平補で乾燥しない。猪腰子は腎を補い、虚汗を止める。これらの材料を併用することで、気血を補う処方となる。この品は気血を双補し、補気を主とする。気血両虚で気虚が主である場合に特に適している。 [方十三] サクランボ500グラム、砂糖250グラム。両者を一緒に煮て煎じる。またはサクランボを潰して搾汁し、沸騰させ、砂糖で調味して食事として食べる。 サクランボはバラ科植物サクランボの果実で、別名荆桃。現代の栄養分析によると、サクランボには多種の糖分、B群ビタミン、ビタミンC、β-カロテン、鉄、カルシウム、リンなどの栄養物質が含まれている。鉄分の含有量が高く、貧血の人はこれを食べることでヘモグロビンの再生を促進する。 サクランボは人々に愛される甘い果物であり、天然の美容品でもある。『図経本草』には「食すると中を調え、気を補い、顔色を美しくする」と記されている。明代の蘭茂が著した『滇南本草』ではさらにその健康効果を「すべての虚証を治し、元気を大補し、皮膚を潤す」と述べている。定期的に食べると、顔の美容に良い。 [方十四] ブドウ250グラム、砂糖適量。ブドウを洗い、細かく切り、鍋に入れて水を加えて煮て汁を取る。砂糖を少々加えて調味し、お茶代わりに飲む。 ブドウは古くは蒲桃と呼ばれており、味は甘酸平。煎湯して飲むと、気血を大補し、煩悶を除き、渇きを止める。心を強化し、利尿して胎を安定させ、胸満腹張、煩悶喘急、坐卧不安な胎気上逆の妊婦に適している。 ブドウは栄養が豊富で、炭水化物は主にグルコースで、分解なしに人体に吸収され、エネルギーを供給する。また、いくつかの有機酸を含み、胃を健やかにし、消化を促進する。妊婦には特に有益である。 ブドウがなければ、ブドウの根や葉を煎じて湯としても代用できる。 [方十五] 大棗10~15個、玄米2両。水を加えて、両者を一緒に粥にする。 この方は気血を補い、脾胃を健やかにする。胃虚食少、脾虚便溏、気血不足、血小板減少、貧血、慢性肝炎1、栄養不良に対して効果的である。 [方十六] 玄米2両、新鮮な牛乳半磅。まず玄米を粥にし、粥が出来かけたときに牛乳を加えてさらに粥にする。 この方は虚損を補い、五臓を潤し、老人を強化する。中高年で体が弱く、気血が不足し、病後虚羸、口渇、逆流噎膈、便秘などの症状に適している。 [方十七] 母鶏1羽、玄米2両。母鶏を洗い、濃く煎じて汁をとり、その汁を分けて玄米と煮る。最初に強火で沸かし、その後弱火で粥が濃くなるまで煮る。 この方には五臓を養い、気血を補う効果がある。高齢で体が弱く、病後痩せ、気血不足によって引き起こされるすべての衰弱症状に適している。 [方十八] 水戻し海参50グラム、冬笋片15グラム、水戻し冬菇5グラム、熟ハム末2グラム、調味酒、精塩、かつおだし、黒胡椒粉、葱、生姜、豚油、鶏がらスープ各適量。海参を細切り、冬笋、冬菇を細かく切る。鍋に豚油を加え、熱くなったところで、葱、生姜の末を炒めて焦がし、鶏がらスープを加え、葱と生姜を取り除く。その後、海参、冬菇、冬笋、塩、調味酒、かつおだしを加えて沸騰させ、澱粉でとろみをつけ、ハム末を加え、黒胡椒粉をふりかけて完成させる。 海参は一種の海産珍味である。人参に匹敵する滋養効果があるため、この名がある。高タンパク、低脂肪の食事として最適な食物である。性味は甘く、微咸で、補腎壮陽、益気、滋陰、通腸、潤燥、止血、消炎の効果がある。『本草綱目』には「元気を補い、五臓六腑を補う」と記されている。現代医学では、海参に含まれる海参素は一種の抗真菌剤であり、多くの真菌や特定の腫瘍、癌腫を抑制し、中風の痙攣性麻痺にも効果があり、血圧を低下させる。気血不足、腎陽虚弱、肝腎不足、臓腑損傷によって引き起こされるさまざまな疾患、および高血圧、血管硬化などに使用される。 [方十九] 烏賊肉500グラム、調味酒、精塩、砂糖、葱の輪切り、生姜の薄切り、醤油、生油、麻油各適量。新鮮な烏賊肉を沸騰したお湯で一度茹で、取り出して洗い、水気を切る。鍋に生油を加え、熱くなったところで葱、生姜を加え、香りが出るまで炒め、烏賊肉、砂糖、醤油、塩、調味酒、水を加える。沸騰させ、肉が熟し、汁が濃くなるまで煮、葱と生姜を取り除き、麻油を加えて混ぜて完成させる。 烏賊肉は別名墨魚肉といい、栄養価の高い食物である。新鮮な品には大量のタンパク質と一定量の炭水化物、無機塩、ビタミンなどが含まれており、ペプチド類物質も含まれる。脂肪含量は非常に少なく、100グラムの乾品中にタンパク質68.4グラム、カルシウム、リン、鉄、ヨウ素が豊富である。中医ではその性味は咸平で、滋陰養血の効果がある。 『医林纂要』では「心を補い、脈を通し、血を調え、腎を清め、熱を除き、精を保つ。炒め物として食べると、血を養い、陰を滋養し、目を明るくし、熱を除く」と述べている。この料理は婦人の血虚、経閉、崩漏、帯下に適している。気血虚弱の人には気血を補う効果がある。健康な人はこれを食べることで体を強化できる。 [方二十] 章魚200グラム、豚足2本、調味酒、精塩、黒胡椒粉、葱の末、肉汁各適量。章魚を泥や汚れを洗い、沸騰したお湯で10分間浸して、黒皮を剥き、洗って細切りにする。豚足の毛をすべて取り除き、洗って鍋に入れ、沸騰したお湯でしばらく茹でて取り出す。鍋に章魚、豚足、調味酒、塩、黒胡椒粉、葱、肉汁を加え、沸騰させ、弱火で肉が柔らかくなるまで煮る。完成後、盛り付ける。 章魚は味が甘く、咸で寒く、無毒。血を養い、気を補う。『泉州本草』には「章魚は気を養い、血を補い、収斂し、肉を再生する。気血虚弱、瘡疽腫毒、久瘡潰瘍を主治する」とある。章魚と豚足を一緒に煮ると、気を養い、血を補う効果が強まる。産後気血虚弱の人に適している。豚足には大量のコラーゲンタンパク質が含まれており、皮膚細胞の成長に必要な原料である。長期服用すると皮膚を潤す効果がある。 [方二十一] 鱸魚500グラム。当帰、党参各15グラム。調味酒、葱、生姜、ニンニク、かつおだし、精塩、醤油各適量。鱸魚を背中側に切り、骨、内臓、頭尾を取り除き、細切りにしておく。当帰、党参を布袋に詰め、口を縫い、鱸魚をアルミ鍋に入れて、薬袋を加え、調味酒、葱、生姜、ニンニク、精塩を加え、適量の水を加える。 鍋を炉に置き、最初に強火で沸かし、浮き沫を除き、その後弱火で1時間煎じる。薬袋を取り除き、かつおだしを加えて完成させる。 気血を補い、強化する。気血不足、長期病体弱、疲労感、顔色が悪く、痩せている状態の補助治療に適している。 <气血>
|