鍼刺時に患者の体位が適切かどうかは、経穴の正確な定位、鍼刺操作の実施、長時間の留針、さらには気絶(暈針)、滞針、曲針、甚だしくは鍼の折損事故の予防に大きな影響を与える。例えば、重篤な病態や虚弱な患者は座位で治療すると、疲労感が強く、気絶が起こりやすい。また、体位が不適切な場合、鍼刺操作中や留針中に患者が体位を変更することで、曲針や帯針、さらには鍼の折損事故が発生する可能性がある。 したがって、処方に基づいて経穴の位置を考慮し、適切な体位を選択することが重要である。これは、経穴の正確な定位を確保し、鍼灸操作の容易さと長時間の留針による疲労防止を目的とする。臨床では、以下のような体位が主に用いられる: ①仰臥位:頭部、顔面、胸部、腹部の経穴および上肢・下肢の一部の経穴に適している。 ②側臥位:身体の側面にある少陽経の経穴および上肢・下肢の一部の経穴に適している。 ③俯臥位:頭部、項部、脊背部、腰部・尻部の経穴および下肢の背側・上肢の一部の経穴に適している。 ④仰靠坐位:前頭部、顔面部、頸部前方の経穴に適している。 ⑤俯伏坐位:後頭部および項部・背部の経穴に適している。 ⑥側伏坐位:頭部の一側、頬部および耳の前後部の経穴に適している。 臨床では上記の常用体位に加えて、特定の経穴に応じて異なる体位を採用する必要がある。また、処方された経穴の位置を一つの体位で全て刺せる場合には、二つ以上の体位を併用しないようにすべきである。ただし、治療の必要性や経穴の定位特性により二つの体位が必要な場合は、患者の体質や病情に応じて柔軟に対応するべきである。初診患者、精神的に緊張している患者、あるいは高齢者・虚弱者・重体患者の場合、条件が許せばなるべく臥位を採用し、疲労や気絶のリスクを回避すべきである。
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