近視は古くは「能近層遠症」と呼ばれた。視近は明瞭だが、視遠はぼんやりする主な症状を有する眼疾患である。近代医学では、遺伝的要因や後天的な発育不良により眼軸が延長したり、または毛様体筋の攣縮により水晶体の屈折率が変化するなどの要因により、物像が網膜の前に結像するためである。鍼灸治療は、後者の原因に対して良好な効果を示す。近視には局所的な屈光異常の要因に加え、体質的な要因もある。たとえば、心を疲れさせすぎると心陽が消耗し、陽気が上に達せず、目絡が滞って流れが悪くなる。あるいは、長期間の病気や過労により肝腎が虚し、精血が不足する。このような原因に加え、長時間細かいものを見る、夜間の読書などにより目筋が緊張し、血絡が滞る。これが最終的に本疾患を引き起こす。したがって、近視の治療には局所的な要因に注目するだけでなく、全身の状態を整えることも重要であり、これにより治療効果を高め、安定化を図るべきである。 心神過労型:眼球が前突し、視界が霞む、顔色が白く、倦怠感があり、心悸し、言葉少な、精神疲労で夢が多い、不眠。舌苔は白く、舌は淡く、脈は細く无力。選穴:絲竹空、瞳子髎、攒竹、精明、四白、光明、臂臑、風池、神門、心俞、内関。操作:上記4~6穴を選択し、遠近の配合を意識し、毫針で平補平瀉法を行う。遠端穴には毫針補法を用いる。毎日1回、留針20分、12回を1クールとする。クール間は5~7日休憩する。 肝腎虚損型:両目が乾く、めまい・視力障害、腰膝の痛み・弱さ、舌は淡く苔が少なく、脈は沈し无力。選穴:風池、晴明、球後、承泣、四白、攒竹、光明、臂臑、三陰交、太溪、肝俞、腎俞。操作:毫針で平補平瀉法を行い、遠端穴には毫針補法を用いる。毎日1回、留針20分、12回を1クールとする。クール間は5~7日休憩する。 電鍼療法:選穴は上記と同じ。国産の多種類電子治療器のいずれかを使用し、上記の穴群に鍼を刺して得気した後、電極の一方を風池に接続し、他方を他の各穴に交替接続する。電流の強度と周波数は患者が耐えられる範囲とする。各穴に3~5分間電刺激を行う。毎日1回、7日を1クールとする。クール間は3日休憩する。 耳鍼療法:選穴:眼、目1、目2、心、肝、腎、神門。操作:毎回3~4穴を選択し、敏感点を見つけて王不留行籽で貼り付ける。患者に毎日3~4回、各穴3~5分間、自己按圧を促す。7日を1クールとし、通常3ヶ月間継続治療を行う。 梅花鍼療法:選穴:玉枕から大杼までの各穴、眼窩周辺の諸穴。操作:頸椎両側、玉枕から大杼の穴に梅花鍼で軽く叩く5~10回、わずかに出血する程度とする。眼窩周辺の穴には軽く3~5回叩き、皮膚が赤くなり、患者が灼熱感を感じる程度とする。毎日1回、10回を1クールとする。クール間は3~5日休憩する。 治療中は、科学的な目使いを心がけ、眼筋の疲労を避けること。毎日眼保健操を行うこと。
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