赤み・腫れ・熱感・痛みは典型的な炎症の臨床所見である。乳房にこれらの症状が現れた場合、乳房の炎症性疾患、例えば急性乳腺炎、乳腺管拡張症候群などが考えられる。また、炎性乳癌の可能性も考慮すべきである。 急性乳腺炎は、哺乳期に最も頻繁に見られる急性化膿性感染症である。発症前には乳頭裂傷や乳汁の貯留歴があることが多く、乳房に赤み・腫れ・熱感・痛みが現れ、激しい痛みを伴い、全身症状として著しい発熱を伴うことが多い。膿瘍化すると自発的に破潰するか、切開排膿を行うことで、赤み・腫れ・熱感・痛みが消失する。乳腺管拡張症候群(漿細胞性乳腺炎)は、非哺乳期に発症し、発症前には乳頭汁漏れの歴があることが多く、乳房にしこりが現れ、その後局部に赤み・腫れ・熱感・痛みが現れる。痛みはそれほど激しくなく、全身症状も顕著ではない。後期にはしこりが軟化し、膿瘍を形成し、破潰すると瘘管が形成され、創口は長期間治らないか、繰り返し破潰する。炎性乳癌は妊娠・授乳期に多く、急激な発症と急速な進行を特徴とする。患側乳房に赤み・腫れ・熱感・痛みが現れ、短時間で全体に及ぶ。腋窩リンパ節や対側乳房への侵犯も容易に起こる。全身症状は顕著ではなく、抗炎症治療では効果がない。皮膚の潰瘍は通常見られないが、予後は極めて不良である。 急性乳腺炎が赤み・腫れ・熱感・痛みの初期段階で適切かつ早期に治療されれば、膿瘍化や手術を回避でき、病程を短縮できる。したがって、乳房に赤み・腫れ・熱感・痛みが現れた場合は、早期に医師に受診することが重要である。 <乳癌>
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