男性不妊 男性不妊とは、男性生殖器の解剖学的および生理機能異常により不妊となる状態を指す。本症の原因は多岐にわたり、性機能障害が不妊を引き起こすことが多く、その代表的なものとして勃起不全、早漏、無射精などが挙げられる。また、精液異常も不妊を引き起こすことがあり、無精子、精子数減少、精液不液化、死精過多、精液量減少などが含まれる。さらに、先天的または後天的な生殖器の器質的変化、精神的要因、健康状態、性交習慣なども男性不妊症の原因となる。中医学では男性不妊症に対して多くの有効な民間療法が蓄積されており、主なものは以下の通りである。 [方一] 柴狗腎1個、韭菜子15g、蛇床子、五味子各10g。菟絲子20g、補骨脂12g、桑螵蛸30g、覆盆子、生山薬各15g、車前子(包)9g、塩知柏各9g、全当帰12g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取する。 [方二] 枸杞子、菟絲子、五味子、覆盆子、車前子(包)各9g、党参15g、白朮、茯苓、仙靈脾各9g、川断12g、当帰9g、甘草6g。水煎して服用し、1日1回。 本方は『山東中医学院学報』掲載の処方。 [方三] 知母、黄柏各9g、生熟地各12g、赤白芍各9g、丹参30g、仙靈脾15g、丹皮、車前子(包)各9g、双花30g、生甘草6g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は精液不化による男性不妊症に適応。 [方四] 枸杞子、覆盆子各30g、川附子24g、蛇床子、菟子、炙草、山薬、破故紙各30g、柴狗腎1個、益智仁、淫羊藿各30g、五味子15g、山萸肉9g、韭菜子15g、紫河車、巴戟天各30g、上肉桂24g、鹿鞭1個、熟地30g、砂仁15g。上記薬材を細末にし、水丸として配合。1回9g、1日2回服用。 本方は『上海中医药雑誌』1981.12号より、精子数減少・生存率低下による不妊に適応。 [方五] 知母、黄柏各9g、生熟地各15g、山薬、山萸肉各12g、丹皮、澤瀉、雲苓各9g、生甘草6g。水煎して服用し、1日1回。 本方は『山東中医学院学報』1979.2号より、腎陰を熱が傷つけ、相火が亢進し、陽強難倒、射精不能の状態に適応。 [方六] 蜈蚣18g、当帰、白芍、甘草各60g。まず当帰、白芍、甘草を乾燥させて細末にし、90~120目篩を通す。その後蜈蚣を細末にし、2種類の薬粉を均等に混合する。半包から1包を分次に服用し、朝夕空腹時に白酒または黄酒で送る。15日を1療程とする。生冷食を避け、怒りを抑えること。 本方は『山東中医学院学報』1979.2号より、勃起不全・早漏による不妊に適応。 [方七] 炒茴香、川芎各6g、元胡、没薬、蒲黄、炒霊脂、川牛膝各10g、当帰、赤芍各12g、琥珀末(衝服)3g。水煎し、1日1回、2回に分けて服用。 本方は『黒竜江中医药雑誌』1982.2号より、性交時にしばしば下腹部・陰嚢部に膨満感・チクチクとした痛みを感じ、射精困難による不妊に適応。 [方八] 煅龍骨、煅牡蛎各15g、五味子6g、茯苓9g、桑螵蛸6g、煅白石脂、芡実、菟絲子、韭菜子、金櫻子各9g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『男子不妊』より、腎気不固、早漏・遺精、疲労感による不妊患者に適応。 [方九] 魚腥草20g、鳳尾草、土茯苓各15g、革薄12g、車前草15g、漏芦10g、川楝子、莪術各12g、丹参15g、丹皮10g、益母草15g、肉苁蓉12g、女貞子、麦冬各10g、生甘草8g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『北京中医学院学報』1982.1号より、慢性前立腺炎・精囊炎による不妊患者に適応。 [方十] 知母9g、黄柏9g、生地15g、双花30g、蒲公英15g、赤白芍各9g、丹参15g、当帰12g、川断15g、甘草6g。 水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『山東中医学院学報』1979.2号より、慢性前立腺炎・精囊炎による死精過多・不妊に適応。 [方十一] 熟地、菟絲子各30g、覆盆子25g、茯苓20g、枸杞、故紙各30g、車前子10g、炒韭子15g、肉桂10g、五味子15g、鹿茸5g、沉香10g、胡桃仁5g、巴戟天25g。上記薬材を粉末にして蜜を用いて丸剤化(9g)。1回1丸、1日3回服用。 本方は遼寧名医彭静山が男性不妊症に特化した専用処方。 [方十二] 白朮15g、茯神9g、遠志6g、柴胡1.5g、鬱金3g、白芍30g、当帰9g、巴戟天6g、陳皮1.5g、白芥子6g、神曲1.5g、麦冬、丹皮各9g。 水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『辨証録』より、肝気鬱結による男性不妊症に特化。 [方十三] 熟地30g、玄参15g、麦冬、生地、丹皮、山薬、石斛、海参各9g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『辨証録』より、精室に熱が滞留する男性不妊症に特化。 [方十四] 制首烏15g、韭菜子、当帰、熟地各12g、菟絲子10g、覆盆子、仙靈脾、川牛膝各12g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。1ヶ月を1療程とする。 本方は『浙江中医学院学報』より、腎陽不足による男性不妊症に特化。 [方十五] 炮天雄16~19g、熟地、菟絲子、懐牛膝、枸杞子各20g、炙甘草6g、仙靈脾10g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は広東名医羅元恺の処方で、腎虚による精絶異常な不妊に特化。 [方十六] 生薏仁30g、生地10g、麦冬15g、女貞子10g、滑石20~30g、茯苓10g、虎杖12g。1日1回、水煎して服用。15日を1療程とし、1~2療程で効果が現れる。 本方は北京中日友好病院施漢章の経験処方で、無精子不液化による男性不妊症に特化。 [方十七] 仙靈脾、枸杞子、山薬、肉苁蓉各100g。 水煎して服用し、2日に1回、2回に分けて摂取。毎日精液検査を行い、2~3ヶ月を1療程とする。 本方は遼寧中医張翠環・李経国が不妊症に特化した専用処方。 [方十八] 大熟地15g、枸杞子、覆盆子、山萸肉、巴戟天、仙靈脾、肉苁蓉各10g、韭菜子20g、紫河車6g、生黄芪15g、全当帰10g。水煎して服用し、1日1回、30日を1療程とする。精液検査が正常値に戻ったら、人参鹿茸丸、五子産生丸を継続服用して効果を維持し、妊娠促進を図る。 本方は北京平谷県中医院於増瑞が男性不妊症に特化した専用処方。 [方十九] 淫羊藿、陽起石各30g、菟絲子15g、熟地18g、女貞子9g、山薬12g、五味子10g、鹿角膠、龜板各18g。水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は山東济宁中医院高全華が不妊症に特化した経験処方。 [方二十] 生地12g、澤瀉、茯苓、車前子、白芍各10g、丹皮、知母、黄柏各6g、碧玉散15g、生鳖甲20g。水煎して服用し、1日2回。3ヶ月を1療程とする。 本方は江蘇中医徐福松が男性免疫性不妊症に特化した検証処方。 [方二十一] 魚鳔膠、鹿角膠、人参、菟絲子、枸杞子、覆盆子、山薬、山萸肉、肉苁蓉、仙靈脾、当帰、牛膝。 水煎2回、朝夕に分けて服用。3ヶ月を1療程とする。 本方は『天津中医学院学報』孟慶輝が特発性無精子症による不妊症に特化した処方。 [方二十二] 仙靈脾、太子参、車前子各15g、肉苁蓉、覆盆子、菟絲子、枸杞子、制黄精、制狗脊、留行子、当帰各12g、仙茅9g、五味子6g、紫河車粉3g。水煎して服用し、1日2回。 本方は『浙江中医学院学報』掲載の朱柏林の経験処方で、死精症による男性不妊症に特化。 [方二十三] 知母9g、黄柏10g、生地15g、山萸肉9g、懐山薬、上茯苓各15g、小蓟根30g、炒蒲黄15g、鮮茅根30g。水煎して朝夕に分けて服用し、同時に参三七粉1.5gを送る。 本方は『江蘇中医』掲載の蔣春栄が男性不妊症に特化した専用処方。 [方二十四] 金银花、香連翹各24g、蒲公英、紫花地丁各20g、生地、当帰、白芍、覆盆子各15g、黄柏、知母、龍胆草各12g、紫河車末(衝服)15g、甘草10g。水煎して服用し、1日2回。 本方は『新中医』掲載の顧春生が膿精症による男性不妊症に特化した処方。 [方二十五] 青蒿、山茱萸、炙黄芪各20g、知母、黄柏各12g、龍骨、牡蠣各30g、沙苑子15g、遠志、石菖蒲各12g、熟地15g。 水煎して服用し、1日2回。 本方は『浙江中医』誌掲載の張生勝が不妊症に特化した処方。 [方二十六] 紫石英、党参、川断各15g、仙靈脾9~15g、黄芩、徐長卿、菟絲子、当帰、白芍、白朮、雲苓、炙甘草各9g、熟地12g、川椒1.5g、鹿角霜、川芎各6g。 水煎して服用し、1日1回、2回に分けて摂取。 本方は『実用中医保健学』掲載の処方で、原因不明の不妊症に適応。 [方二十七] 海龍3条、鹿茸、海狗腎各15g、胎盤30g、羊腎(睾丸)3副、肉苁蓉15g、仙靈脾、仙茅、巴戟天、葫蘆巴各20g、枸杞子30g。諸薬を乾燥させて細末にし、蜜を用いて丸剤化。1日2~3回、1回10gを口服。湯剤にする場合は、1回の海龍を1条に、胎盤3g、海狗腎1.5g、茸2gに変更し、これら4味を細末にし、肉苁蓉、仙靈脾、仙茅、巴戟天、葫蘆巴、枸杞子を原量で水煎し、汁を取って上記4味を溶かして服用。1日1回、羊腎は1日1個ずつ、煮込んで肉と汁を飲む。 本方は河南名医張海岑の経験処方で、補腎壮陽、填髓生精作用があり、男性腎虚不妊で陽虚型に適応。<性欲低下>
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